確か「ROCKIN’ON JAPAN」が1冊ぐらいあるはずだと本棚を探してたら、代わりに『音楽が終った後に』が出てきた。



 帯にある通り、古い著作物である。
 今読むと当たり前の事しか書かれておらず、面白みも何もない。が、おそらくこれは、研ぎ澄まされた渋谷陽一の感覚が今や誰でも共感することのできるフツーのものとなったということなのだろう(笑)。(笑)を付けるというのも故人に対して甚だ失礼であるが、そういうことだと思う。

 上の書物ではないが、昨日のブログに載せた『ライナー・ノーツ』という本(1980年発行)にいくつかのマンガ評があり、これを基に考えると分かりやすいかもしれない。
 例えば、大友克洋に触れている項。今読むとあまりにも的を得ており驚くほどであるが、当時皆、こんなふうに大友を思っていたのだろうか??よー知らん。



 また、『マカロニほうれん荘』について書かれた項では、正直に自分の感触を述べている。当時、私は現役の少年で、渋谷陽一は大人だった。やっぱ大人からすれば『マカロニほうれん荘』ってこういう受け止め方だったんだなあと思うと同時に、でも若者に媚びたり迎合したりするわけじゃない一方で自分の感性の衰えという焦りや危機感を抱いてしまうって、たぶん今現在の我々大人が皆そんなふうだよね、と今度はなんとブーメランになって帰ってくるのであった。



 もっとも、時に彼はあまりにもヒドい偏見の持ち主でもあった。忘れられないのは、『ドラえもん』や『サザエさん』が東京以外の人間に分かるのだろうか(理解できるのだろうか)とラジオで語ったことである。〈空き地に土管〉や〈2階に勉強部屋〉などは東京だけのものだろと言うのである。地方も同じだよーん。
 って渋谷陽一は漫画評論家じゃないってば。


 私は渋谷陽一がNHK-FM「サウンドストリート」の木曜日と金曜日を担当してた頃から聴いていた。
 何か1本くらいカセットテープが出てこないかなあと探したのだが、無さそう。情報番組「FMホットライン」の1984年12月23日放送のものぐらいしかない。この年の総集編で、インタビューの中から好評だったものがセレクトされた。
 渋谷氏は自信満々ですが、各インタビューからの切り取りだったので、実際には面白さのニュアンスが伝わりにくい感じとなってしまった特集でした。その中からさらに抜粋してごく一部を。明石家さんまと所ジョージのインタビューです。抜粋の抜粋だからますますワケ分からなくなってますが(笑)。

 1984年12月23日放送「FMホットライン」より:


 昭和だなあ。
 って渋谷陽一はお笑い評論家じゃないってば。


 基本、音楽評論家なのです。
 仲井戸麗市がMCを務めた「オン・ザ・ロック!」というBSの番組に渋谷氏がゲストとして招かれた回のVから抜粋です。はっきり言ってチャボだからここまで喋ってくれたというのもあると思います。

 2015年7月12日放送「オン・ザ・ロック!」より:


 この最後の部分は渋谷氏の本音なのでしょうが、まあ私などはちょいとショックを受けてしまいました。渋谷陽一が良いと言う昔のロックを追いかけてきて、今の新しいロックは聴いてこなかったから。。
 結局は自分の感性を信じろということなんだろうけど、この期に及んでまだ私は渋谷氏を道標として頼りにしたい。
 新潮文庫『ロック ベスト・アルバム・セレクション』は、U2の『ヨシュア・トゥリー』で終わっています。これ以降の、氏が推した盤を見つけて聴いていこうと思う。手掛かりはあるはず。。


 マジックショーのように宙に浮くお日様


 やがてこうなる。今日も暑くなりそう。




投稿者

エヌ氏

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